第一回
大網白里の“小さな英国”より
――偶然の立ち話が生んだ、紅茶の香りの物語――
どうも、ニキです。
気づけば、ニキズキッチンも今年で25周年。
この四半世紀のあいだ、ずっとお付き合いくださっている方、久しぶりに「ただいま」と戻ってきてくれた方、そしてこれから出会う未来の生徒さん。
本当にたくさんのご縁に支えられてきました。ありがとうございます。
思えば最初は、月に4人だけの小さな教室。
キッチンの湯気の向こうに、いろんな国の言葉と笑顔が混ざり合って――
気がつけば、世界地図みたいな場所になっていました。

25年経っても、やっぱりこの場所は“人間ドラマ”のるつぼです。そんなニキズキッチンの台所の片隅から、今日はちょっとだけ、エッセイでお届けします。
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さてさて、今回はアイバンさんと直子さんのストーリー発端はといえば、これまたニキズキッチンらしい偶然のご縁。
アイバンさんとの出会いは、ほんとに偶然だった。
ある日、ナショナル麻布のスーパーで、ニキズキッチンの先生が買い物をしていた外国人の男性にふと声をかけたらしい。
「その材料でどんな料理を作るんですか?」
「へえ、日本にはどうして?」
そんな他愛のない会話から、自然と料理の話になり、気がつけば「料理教室やってみればいいのに。」
という流れになっていたという。
スカウトでも企画でもなく、ただの立ち話。

でも、そういう偶然が、気づけば大網白里に
“小さな英国”を生むことになるんだから、人生って面白い。
その彼こそが、今回の主役・アイバンさん。
イギリス出身。長く東京で暮らしていたけれど、
「もう少し自由に、のびのびと暮らしたい」

と思い立ち、海と緑に囲まれた大網白里へ移住。
かねてから憧れていた土地で、思う存分DIYに没頭しながら、時折、自分で焼いたパンをかじりつつ紅茶を飲む。
――そんな穏やかな日々。
(写真はアイバンさんがDIYで作ったガレージハウス)

「人に何かを教えるなんて、考えたこともなかったですよ」
そう笑う彼が、いまでは教壇(いや、キッチン台?)に立っているのだから不思議。
料理教室を始めたきっかけは、奥様の直子さんのひとこと。
「DIYもいいけど、やったことのないことに挑戦してみたら?」
その言葉が、静かな湖面にポトリと落ちた小石のように、少しずつ波紋を広げた。
そして気づけば――大網白里に“小さな英国”が生まれていたのです。
第二回に続く。