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見て食べて納得!大人の社会見学築地場内市場編


神田駅前にある「笹鮨」。http://www.sasazushi.com/
創業130年以上を誇る江戸前鮨の老舗の四代目若旦那にかねてから念願の

     「見て食べて納得!大人の社会見学築地場内市場編」

にご案内していただきました。

体験したのは、東京・中央区にある公設の卸売市場「築地市場」で、場内には多数の水産物・青果等を扱う仲買が集まっています。
数年前までプロ専門の市場だったものの、最近では一般客の見学も飲食店利用もOKになりました。

土曜の朝8:00。場内の正門でまっていると長靴に竹の籠。築地スタイルで四代目と息子さんが出迎えてくれました。

「場内は早足で歩いてください」「ターレ(場内を走るフォークリフト)には気をつけて」
注意事項を教えていただき、早速場内へ。

背後から響く「ドドドドドド」 ターレがつむぎだす独特の大きなエンジン音。
ターレを運転しているおじさん達は通常「轢くぞ~!こら~」とかなり獰猛な面々なのですが、今回メンバーの中に美女が含まれていたためか、今朝は穏やか。



さておきまずは水産部から。

店舗の必需品は、まずおじさん。そして白い発泡スチロールの箱。魚。時には水槽。そして台。

一見どこも同じように見える店舗けれど置いてある商品がお店によりかなり違う。

箱の中でまるで腐りかかったようにデロ~と魚がのびていて、さらに血だらけの状態で売っているお店があったり、かと思えばまるで料亭の玄関のように美しい打ち水がされていて整頓された商品が美しく陳列されているお店があったり。

「何が良い商品かわかりますか?」と若旦那。
「いや~目利きはさっぱり」
「例えば烏賊。皮がむけている状態のものは傷んでいます。これから歩くお店でいい商品のものが置いてある店もあれば悪いものが置いてある店もあります。良くみながら歩いて見てください。そして店により一般客に小売(一匹から)してくれる所とそうでない所があります。まず白い発泡スチロールに入っているか状態の物は箱ごと売っていると考えてください。」

うう。。師匠。なるほど。
場内は立ち止まって商品を吟味をしている時間はない。
早足で周りながら一瞬にして鮮度をチェックしていく。
いわゆるスーパーマーケットで奥様方がするように商品をじっくり見て、「これ買いね~」と買い物籠にいれるような行為をしていたら、ターレに轢かれ即病院行き。

目利き。それはまるでリングの中の孤独なボクサーに良く似ている。




まずは一軒目、まぐろの仲買「樋長(ひちょう)」
http://www.hicho.co.jp/
(写真左下のマグロ)

「良いマグロは断面が違う。鮮やかな切り口のマグロが上物」
という若旦那お薦めの仲買さんだ。
世界中のマグロ、そして上物のマグロを扱う店として場内の一番を争う店としても知られている。
ちょうどプロの客がひけた朝8:30 仕事が一段落ついたところだったので運良く樋長さん直々に良いマグロについて教えていただいた。

「サクで売ってないんですか」

「市場内部にはもちろん一般客向けにサクで売ってるところもあるよ。でもね、サクだとマグロのどこの部位だかわらないでしょう。良いものを求めるならある程度の大きさのブロックを買わないと。良いマグロを選ぶときは断面から水が出ているものは避けた方がいいね。グループで買えば人数分に切ってあげることができるよ」
※ブロックは手頃なもので3.6万円前後(4キロ位)~




続いて二軒目。こちらは店舗ではなく、場内の仕事場「競り場」「生け簀」。コンクリートの上には打ち水が。なにもなくまっさらな状態の競り場は既に競りが終わり綺麗にかたづけられた状態。
朝3:00 ここにまぐろがずら~と並び、口頭のオークション形式で落とされていく。一番最初に競りにかけられるマグロが一番上等。その価格が上がりすぎてしまえば、その日一日の値が上がってしまうため、周りでワンヤワンヤいいながら価格が落ち着くよう声を飛びあわせる。

そしてさらに奥にある生け簀(水槽)へ案内してもらった。これがまた興味深い。(写真の上2枚)

無数ある水槽の中にはそれぞれの魚がひしめきあう。
朝、仲買さんが品種、魚の状態等水槽をチェックして自分の買いたい魚を選び、後からセリで落とす。

いいものは高く値が付き、高い値でも買ってくれる顧客を抱える仲買さんに購われる。
「水槽の中には、死んだ魚もいる。これもちゃんと死んだ魚を引き取る専門の仲買さんがいるんです。
と若旦那

いつも食べている魚はもちろん死んだもんだけど、こうして水槽の底にしずんでいる魚を見ると食欲は完璧に失せてしまう。

そっかぁさっき、デロ~ンとした魚を売っていたお店に買われていくのね。

「こういう死んだ魚は例えばそんなにコストをかけられない店に買われていきます。もちろん大手のスーパーは独自のルートがありますからまた違った処理の仕方をしているとおもいます」

あ~あ いまなで食べてきた魚は、水槽の中でぴちぴちしていたものなんだろうか。それとも...。

「本当に美味しい魚を求めるなら築地場内で自分の目で見て求めるのが良いでしょうね。」




そして三軒目いよいよ買い物だ。
「共穂」
http://www.seaworld.co.jp/cooking/hei/n021219.html

写真左下
さすがお薦めのところだけあって、魚が今まるで漁から揚がってきたみたいにピチピチとしている。うわ~宝石みたいだ。魚に傷はなく驚くほど新鮮だ。

「箱買いですかね」
恐る恐る聞くと
「一匹からいいですよ~」
と嬉しいお声が。

ここはありがたや。一般の方もどうぞという門の広いお店です。
ここのお店はウニもイクラも魚も多数扱っている。
驚くほど新鮮な魚介類が一匹から仲買の値で買える願っても見ない店である。

ここで「ヤリイカ5ハイ、アジ3匹、ウニ1箱(ウニは箱を見てロシアか北海道のものを選んでください。中国産は×)」を買う。しめて8000円。

街中の魚屋で8000円の買い物なんてほとんどしないが、恐るべし築地パワー。この鮮度の良い品揃えと ここまで奥に来たという 気持ちがサイフの紐を緩ませる。


クーラーボックスの入れて、丁寧に持ち帰った。
共穂で仕入れたヤリイカ、アジ、イカを家でさばいて(正確にはさばいてもらって)手巻き寿司を作り早速いただく。

全てがパーフェクト。驚くほど甘く、透明でそして美味しい。
本物の寿司屋の味が家で楽しめるなんて。
生まれてからこの方 食べたネタの中でクイーンオブザクイーン
まったなしの一番ネタである。8000円はすごくいい買い物でした。

見て食べて納得。大満足の見学でした。

もしこれからいけれる皆さん。行くとしたら土曜8:30以降がお薦めです。プロの買出しが終わり、一般の人が買いやすい時間帯です。